先日のことですが、鯖江市食育推進計画の策定に関わる委員として私も名を連ねるよう、鯖江市より依頼がありました。
若輩者にも関わらず、名誉ある有り難いご依頼を賜りましたことに深く感謝しております。
鯖江市は平成17年に成立した「食育基本法」に則り、国に先駆けて独自の「食育推進計画」を平成18年3月に策定したという経緯があります。
その計画は五年ごとに見直しを図ることとなっており、このたび私も平成23年度改定版策定委員会のメンバーの一人として選ばれたわけですが、これは私にとっては非常に有り難い話で、願ってもないチャンスでもありました。
なぜかといえば、以前もこのホームページにも書いたことがあるのですが、私は食育における国の指針の一つに大きな不満を持っており、その指針を是非とも変革したいという願望を以前から抱いていたからなのでした・・・。
・・・・国は厚生省、文部省、農林水産省の共同により、国民が健康で豊かな生活を送るために大切な、10項目からなる「食生活指針」というものを策定し、栄養士などの専門家でなくとも、それを周知および活用できるように広く掲げています。
その内容は国が掲げる指針として、非常に秀逸なものであることは間違いありませんが、ただ一つだけ、その指針の一番最初に掲げられた『食事を楽しみましょう』という項目だけが、私には食育の目的やその本質を考えた上での掲示とはとても思えず、どうしても納得がいかないのです。
結論から先に言えば、日本という国が国民の食の指針として第一義に掲げるべきは『食事に感謝しましょう』であることが望ましいと私は考えています。
指針10項目の中には「感謝」に関する内容が一切無いため、もしかすると宗教や思想の自由という憲法に配慮したという背景があるのかも知れませんが、食や食事に対する感謝というものは特定の宗教や思想に偏るようなものではなく、全ての人類普遍の思想でありましょう。
まして日本という国においては、先人、先祖が最も大事にしてきた思想であります。
事実、先に成立した食育基本法においては食に対する感謝の念や理解を促すといったことが明記されています。
であるにも関わらず、『食事を楽しみましょう』などといった、あまりにも単純かつ思慮のない言葉を国の指針として第一義に掲げているようでは、そもそもの目的である健全な食生活、国民にとって本当に豊かな食生活というものを、後世にわたって送ることなど出来ないと、今ここで私は断言します。
・・・どうしても楽しむことを重要視し、食生活指針に掲げるというのであれば、『いかなる食(食事)も楽しむ心を育みましょう』にすべきでしょう。
それにしても別に第一義に掲げる必要はありませんが・・・。
食を楽しむということは間違った考えではありませんが、現実を直視すれば、皆が食を楽しみ過ぎているからこそ「飽食」や「崩食」の世となっているのであり、また自分の勝手気ままに食を楽しむ人ばかりが増え続けていることによって、「孤食」の世が導かれているのです。
「過ぎたるは及ばざるが如し」
要は「食の楽しみ方」が問題なのです。
(「食べ方」と言い換えても良いでしょう)
「食事を楽しみましょう」という単純明快すぎる言葉では、それを発信する側も、受け取る側も自分にとって都合の良い楽しみ方として捉え違いしてしまう恐れが往々にしてあるものです。
如何にして食を楽しむのか?
子々孫々に繫げていくべき食事というものを想いながら、如何にしてそれらを楽しむか?
子供にただ楽しめと押し付けるのではなく、我々大人こそがそういったことを省みながら毎日の食事を営むことが何よりも大事なのです。
そしてその「食の楽しみ方」(食べ方)というものは、「食」や「食事」、また「他者」や「他の存在」に対する「感謝の心」があればこそ見出せるものでありましょう。
他者や他の存在を想うことなく、自分の食事を楽しむことばかりを優先するような思想の下では、日本の食の崩壊が歩みを止めることなど決してありません。
自分や自分の目の前にある存在だけでなく、あらゆる存在に対しての感謝の心を育むことで初めて日本の食のシーンは本当に豊かなものと成り得るのです。
そして逆説的ではありますが、「理念ある食育」があればこそ、人の感謝の心というものを育むことができるのです。
・・・・平成18年に鯖江市が策定した食育推進計画も、国のそれと同様に非常に素晴らしい内容に仕上がってはいますが、残念ながら『食を楽しむ』という、やはり単純すぎる項目が掲げられてしまっています。
今回、この名誉ある機会を頂戴したからには、まずは鯖江市の食育推進計画から『食を楽しむ』という項目のより良い変革を促し、ぜひとも国の掲げる食生活指針の見直しへとつなげていきたいと、密かに野望を抱いているワタクシこと、玄米屋たいぞうのたいぞうでございました。
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