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玄米屋たいぞう便り第8号 「たいぞうの過去のお話」

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玄米屋便り8

 

 

 今回は玄米屋たいぞうを経営する以前に、かつて私が経営していた、肉料理のお店「炭火いろり焼き・肉料理大蔵(たいぞう)」でのお話をしたいと思います。

 

 

 当時の私は「旨い食べ物、美味しい食べ物を提供することが多くの人達に幸せをもたらすことだ」と信じていました。

 


 目の前の人に「美味しい」、「楽しい」と喜んでいただける、そういったサービスを提供することがお客様の喜びとなり、同時に自分の喜びになっていることを素直に嬉しく思っていました。

 


 しかし、最初の頃こそそれがお客様の幸せなのだ、と疑いもしませんでしたが、何年かすると、どうもそれが人の幸せに結びつくことになっているとは思えない・・
 だんだんとそういった疑問を持つようになった私がいたのです。

 


 私の目の前には、糖尿病を患ってしまったにも関わらず、それでもまだ美味しい食べ物を求め続ける人達や、アルコール中毒になりかけているにも関わらず、まだ酒を欲しているような人達が何人も現れました。

 


 そういった人達に美味しい酒や食べ物を提供することは、その人にとっては確かに幸せなことであったでしょうし、私も商売として成り立たせる行為として何も非難される様なことはないと理解はしています。

 


 しかし本人達はそれで満足かもしれませんが、周りの人達、特に家族の方々にとっては「不幸」となっている現実を、私はまざまざと見せ付けられたのです。

 

 

 当時の常連さんで重い糖尿病を患ってしまった方がいましたが、その人は「旨いものを食べて死ぬなら本望だ」などとうそぶいて、それまでと変わらず旨い肉や酒を求め続けていました。

 


 その結果どうなったかといえば、当然の如く病気が悪化し、彼が再び私の店に来ることはありませんでした。

 


 別の常連さんはガンの再発を恐れ、毎日のように酒を求めていましたが、アルコール中毒になった挙句、終いにはガンを再発し、同じく再び店に来ることはありませんでした。

 

 

 ただ、本人達が私の店で食事をされていたとき、彼らは本当に嬉しそうでしたし、心から喜んでいたことは間違いありません。

 


 本人達にとっては、その瞬間の時は確かに幸せであったことでしょう。

 


 しかし、周りの人たちはいつも心配をしていました。

 


 その家族の方々はいつも憂いていました。

 


 店の仕込みの最中に家族の方がやってきて、「お願いだからもう酒は出さないでやってくれ」と言われたこともあります。

 


 ですから、その客の周りの人達が幸せな様子だとは、私にはとても見えませんでした。


 

 周りの人達はその人が不幸になっていく様子を、これ以上は見たくなかったのですから。

 


 しかし当の本人は自分が幸せに感じていることが、周りの人達にとっては「不幸せ」になっていることに気付いていません。

 


 気付かないフリをしていたのかもしれません。

 


 彼らはあくまでも「自分の瞬間の幸せ」が大事でありました。


 

 

 そういったことがあって、私は「旨い食べ物、美味しい食べ物を提供することだけが多くの人に幸せをもたらすわけではない。多くの人に喜んでもらうためには、他にもっと違う方法があるはずだ」と思うに至ったのです。

 

 

 客観的に不幸せになっていることは、決して人だけではなく「環境」においても見受けられます。

 


 人間達の「瞬間の幸せ」の為に、様々な環境が社会的な見地から見れば「不幸せ」なことになり続けています。


 

 私達が自分の快楽のためだけに、それらのことに気付かないフリをすることは恥ずべきことと私は考えていますが、皆さんはどう思われ、どうすべきだと思われますか?

 


 私は、私達が今本当にすべきこと、求められていることは「自分の欲望をコントロールする知恵と手段」、そして「それを実行するその姿を未来に繋げること」なのではないかと考えているのです。

 

 

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